未来予測は面白い。いくら荒唐無稽で根拠のないものでも、当たるか外れるかは誰にも分からないからだ。まだ起きてない未来は誰に対しても平等に存在している。素人でも専門家でも予測である事に変わりはない。だが、専門家は当たる確率を引き上げる。 ジョージ・フリードマンは、地政学や科学技術、人口、文化、軍事などの動向を分析し、今後100年の世界情勢を予測する。地政学とは地理的な優劣で政治を分析するもので、ジャレド・ダイアモンドが主張する東西ユーラシアの優勢論も、地政学を拠り所にしたものだ。 影のCIAと呼ばれるジョージ・フリードマンは、アメリカに対抗し得る国として、日本、トルコ、ポーランド、メキシコを上げる。その中でも特に、日本の分析に多くのページを割く。 日本が大きな社会変革を経ても基本的価値観を失わずにいられるのは、文化の連続性と社会的規律を併せ持つからである。短期間のうちに、しかも秩序正しいやり方