■日常系青春本格ミステリー 米澤穂信の〈古典部〉シリーズは、デビュー作でもあった第1作『氷菓』から最新作の『ふたりの距離の概算』まで、日常系青春本格ミステリーの王道をゆく著者の代表作であり、その人気を決定づけた秀抜な連作である。そしてその人気の秘密は、「日常」と「青春」と「本格ミステリー」という、三つのキーワードにかかわっている。 舞台は某県にある神山高校。語り手を務めるのは「俺」こと折木奉太郎(ほうたろう)。物語は彼が神山高校に入学し、同校の卒業生である姉の勧めによって「古典部」に入部したことからスタートする。高校1年生にして、何事であれ自分から積極的に関わることを避け、淡々と生きてゆくことをよしとする“省エネ”人間の「俺」だったが、同じく古典部に入部した一風変わった少女、千反田(ちたんだ)えるとの出会いによって、心ならずもさまざまな謎や事件に巻き込まれることに……とはいっても、謎も事件
![コラム別に読む : 〈古典部〉シリーズ 「氷菓」など5作 [著]米澤穂信 - 佐々木敦(批評家) | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/e639491f11f8358e37643cf6aee72c1aed0dd0d0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages-fe.ssl-images-amazon.com%2Fimages%2FI%2F51NIr%252BwaJzL.jpg)