このところ介護に関する特集が新聞や雑誌、テレビなどでよくなされる。それは、フィリピンからの外国人研修生の苦労であったり、雇い止めにあった元派遣社員が介護で職を求めるものであったり、さらには介護労働の厳しさを訴えるものであったりと様々であるが、その多くは現場からの報告が中心であり、経済学的な視点からみた特集は意外に少ない。この文章では、介護労働の賃金をめぐって経済学から何が言えそうかを考えてみよう。 介護では人手不足か 介護職員とは、介護保険制度のもとで報酬をうる労働者のことを言うが、厚生労働省の需要推計によれば、平成20年度の130.9万人から21年度には6.5万人の増、さらに3年後の23年度には約18万人増が必要になると見込まれている。すなわち、毎年6万人程度介護職員が増加すれば需要は満たされることになる。ただし、この推計値は介護給付費と同程度の伸び率で必要職員数が増えていくという前提の