人生の最終章を迎えるにあたり、自身の思いや緊急連絡先を記したエンディングノート。携帯できるカード式もあり、大阪府豊中市の熊野維人(まさと)さん(74)、以素(いそ)さん(73)夫妻は財布に入れている。50代半ば、そろって書き込んだ。 ⇒【画像】敬意を表し手術室前で整列 臓器提供者を迎える医師たち 「臓器移植や臓器提供はしません」 維人さんは52歳で拡張型心筋症を発病した。1997年10月に臓器移植法が施行された直後、医師に「移植しか道はない」と言われた。「人の臓器をもらってまでは…」と断り、わずかな可能性に懸けて投薬の臨床試験に参加すると、進行が止まった。今も薬は飲み続けているが、ゴルフができるほど元気だ。 医師はなぜ断言したのか。話題の治療を試したかっただけではないか。臓器提供が増えれば、医師は服薬で済む人にも移植を勧めるようになるのではないか。提供しない意思を示したのは「加担したくなか