北朝鮮が義務教育で使っている教科書を朝日新聞が入手した。約300人が死亡した韓国の旅客船セウォル号の沈没事故や、日本の統治時代に制圧された「3・1独立運動」を批判しつつ、自国の体制称賛に使っている。韓国の専門家は、子どもにうそを教えることで、家庭で体制を批判している親をあぶり出す狙いもあると指摘している。 教科書は2015年に発行された「社会主義道徳」や「情報技術」「英語」など計20冊。いずれも北朝鮮が義務教育(17年4月から12年制、それ以前は11年制)とする期間のものだ。 このうち、初級中学3年用の「社会主義道徳」では14年に起きたセウォル号事故を取り上げた。「傀儡(かいらい)政府(韓国政府)は、救助や真相究明を求める人々の声に耳を貸さなかった」と記し、「わが祖国では、素晴らしい病院で無償医療を受けられる」と説明する。さらに「祖国の懐がなければ、我々も海で死んだ南朝鮮の子どものようにな