少女漫画家・萩尾望都さんの代表作『11人いる!』は、なぜ高く評価されているのか。評論家の長山靖生さんは「舞台は遠未来の宇宙。発表当時は『スター・ウォーズ』や『未知との遭遇』などが流行し、SFがブームになっていたが、発表はそれより早く、時代を先駆けていた。しかも緻密な設定で、SFマニアをうならせるほどだった」という――。 ※本稿は、長山靖生『萩尾望都がいる』(光文社新書)の一部を再編集したものです。 SFブームに先駆けた『11人いる!』 1970年代は、少女漫画におけるSF躍進期でした。もちろん漫画全体で見れば戦前からSF的な作品はあり、戦後すぐに手塚治虫が描き、石森章太郎、藤子不二雄らもSF物を描いていました。少女漫画誌でも当時の主たる描き手だった男性漫画家が、手塚「ロビンちゃん」(1954)、石森「みどりの目」(1957)などのSF少女漫画も描いています。 1960年代に入ると女性漫画家
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