"Blue Valentine"2010/US アメリカ映画には普通の家族にある小さな亀裂を顕微鏡で拡大し、つぶさに見せるような系譜が存在すると思う。そうした映画の代表選手がジョン・カサヴェテスであり、ウディ・アレンであったりする・・・というのは今はなき良ブログ「マコンド犬」に書かれていたことの受け売りなのだが、『ブルーバレンタイン』もやはりこうした系譜に位置する作品である。倦怠期を迎えた一組の夫婦が崩壊していくさまを冷酷に抉っていく一方で、2人が知り合い結婚するまでの最良の日々の記憶がフラッシュバック的に挿入される。恋愛にまつわる記憶を脳内再生するかのような話法は『(500)日のサマー』を強く意識させるが、ここには洗練された映像表現や気の利いた結末もない。ほとんどドキュメンタリー映画の冷淡さで男女関係をめぐる甘美さと残酷さを提示していく。 冒頭、夫婦と一人娘が迎える朝食の様子からして、す
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