今年5月、スピッツが17作目のオリジナルアルバム『ひみつスタジオ』をリリースした。前作『見っけ』が2019年に発売されて以降、約3年半ぶりのアルバム。つまり同作は、コロナ禍以降、スピッツにとって初のアルバムということになる。 人と集まることや声を出すこと、時には家の外に出ることさえままならなかったパンデミックの期間は、バンドの活動にとってさまざまな制限があったことだろう。しかし、そうした期間に制作されたにも関わらず、今回のアルバムから響いてくるのは瑞々しさや力強さ、聴く人を優しく鼓舞してくれるようなサウンドだ。 この記事では、Spotifyの企画「Liner Voice+」内で行なわれたスピッツの4人によるアルバム全曲解説での発言を引用しながら、『ひみつスタジオ』のサウンドや歌詞の魅力に迫っていく。 『ひみつスタジオ』というタイトルは、スピッツというバンドの定義そのものと言っていいだろう。