声が聴きたいな 名前を呼んでよ 時間が止まってこのままがいいよ くるり「Baby I love you」 朝目ざめてから夜眠るまでの一日に、どれだけの出逢いが秘められているものだろう。 何も、というひともいるだろう。数えきれないほど、というひともいるだろう。ひとつたしかにいえることは、生き方を変えるほど特別な出逢いはごく少ないということだ。 生きることはいかにも逆らいがたい慣性運動で、明日はたいてい昨日の延長線上に待っている。本当に特別なひととの、本当に特別な出逢いだけが、その単調なベクトルをねじ曲げて、ぼくらの人生をつよく揺り動かす。 これはたぶん、そんな出逢いの物語。 主人公はあるひとりの青年。浮かない顔つきをして歩いているところを見ると、ぼくらと同じように、たのしいことばかりではない毎日を過ごしているようだ。 あるとき、かれの前にひとりの少女が姿をあらわす。そう、いまやぼくもよく知っ