『トンデモ本の世界R』(2001、太田出版)を再読していて、山本弘氏が大藪春彦『餓狼の弾痕』(1994、角川書店)を取り上げているのを見て「あったなあ」と懐かしく思った。そして、氏の文章を一通り読み終えてから、「やっぱり一言書いておきたい」と思ったのでその通りに書くことにする。 『餓狼の弾痕』がトンデモ本であることは間違いのないところだろう。一応、オペレーション・ヴァルチュアーなる秘密組織が政界や財界の大物が汚い手段で築き上げた大金を巻き上げていく、というストーリーのはずなのだが、実際はただひたすら同じシチュエーションが何十回も繰り返されていく、という昨今流行りのループものを先取りしているのではないか、と誤解したくなる文字通りトンデモない作品なのである。筆者も以前に「唐沢俊一検証blog」で『餓狼の弾痕』をネタにしている。 ガロの弾痕。 - 唐沢俊一検証blog 情事の最中のターゲットを襲