「The Worst Person In The World」という原題を翻案した日本語タイトルのインパクトもさることながら、日本版のポスターやチラシなど、そのビジュアル展開においても、細やかな仕掛けとこだわりにあふれているヨアキム・トリアー監督の映画『わたしは最悪。』。その日本版アートワークを担当したのは、『ムーンライト』『燃ゆる女の肖像』『mid90s ミッドナインティーズ』『ライトハウス』といった洋画、『花束みたいな恋をした』『はい、泳げません』といった邦画の日本版アートディレクションを手掛けたことで知られるアートディレクター・石井勇一だ。 石井は、『わたしは最悪。』という映画に何を感じ、それをどのようにデザインへと落とし込んでいったのだろうか。デザイナーは、ポスターやパンフレットの制作にあたりどのように映画を見ているのか、また、映画にとってポスターやパンフレットはどのような役割を持