財布に優しく、圧倒的にうまい寿司が食べたい。それが人間の欲望である。 財布に優しいとはいくらなのか。5000円、確かに一回の飲み会に行ったと思えばよい気がする。しかし、ふらっと行くには5000円は高いのではないか。 3000円、そう、3000円でおいしい寿司が食べられたなら、気負うこともなくふらふらと店に通うことができる。なんとかして、3000円で食べれる寿司屋を見つけなくてはならないと、瀕死の満員通勤列車の中で思案をしては、スマホで検索する日々を過ごしていた。ある日、GoogleMapで位置を変えながら「寿司」と検索をしていると、なんと2000円で大変おいしい寿司を食べれると噂の店を見つけてしまったのである。 すぐに向かうことにした。その寿司屋は、哀愁と美食の街、十条にあった。 十条 かわなみ鮨 十条駅から徒歩5分ほど、街の片隅で長らく時間を過ごしてきたことがうかがえる無骨な佇まいである