この連載も,いよいよ最終回となった。最後に,「論考」の結びの言葉である「語りえぬものについては沈黙せざるをえない」と,プログラミング言語の関係について考えてみたい。 プログラミング言語の限界が思考の限界だ エイダ(以下A):「私,あなたが言う『語りえぬものについては沈黙せざるをえない』の意味について,最近よく考えるんだけど,やっぱり分からないの」 ウィトゲンシュタイン(以下W):「プログラミング言語についてずいぶん説明してきたから,そろそろ分かってもらえると思っていたのだが……」 A:「もちろん,分かったこともたくさんあるわ」 W:「そう言ってくれるだけでも,嬉しいよ」 A:「これまでのあなたの説明で,私なりに理解してきたことを話すわ。まず日常の言語は,論理という観点に立つと曖昧だわ。だから,論理的に理想的な言語が必要なのよね?」 W:「ヤー(そうだよ)」 A:「それがプロ