‘通り魔殺人’に共感する日本の若者たち/高橋哲哉 前回に続いて今回も通り魔殺人事件と関連したことを書く。東京秋葉原の‘歩行者天国’に25歳の若者、加藤智大がトラックで進入し、4人をひき殺したうえに3人をナイフで刺し殺した事件だ。 この事件の特異性は、誰が見ても許せない凶悪犯罪でありながら、同じ世代の若者の相当数が「加藤の気持ちはわかる」というなど容疑者(犯人)に‘共感’を表していることに現れている。最近、日本では凶悪犯罪が増加しているという意識が拡散(実際の統計上では増加していない)しており、治安上の不安が高まっているため、殺人事件の容疑者、特に若い人に対してメディアやインターネットなどで猛烈な非難攻勢が行われるのが普通だ。ところが今回はむしろ、加藤に‘共感’する若者が多い。 なぜなのか?日本では1980年代後半のバブル景気が崩壊した後、長期不況の企業が人件費を抑制し、また新自由主義政策導