古代哲学 (〈1冊でわかる〉シリーズ) 作者:ジュリア アナス 岩波書店 Amazon 『福祉国家』、『ポピュリズム』、『移民』、『法哲学』、『マルクス』などに続いてVery Short Introduction シリーズの邦訳書を紹介するシリーズ。 『一冊でわかる 古代哲学』の著者は『徳は知なり』も書いたジュリア・アナスなだけあって内容が充実しており、このシリーズのなかでもとくに良書といえるだろう。 本書の良い点のひとつは、単に古代哲学を紹介するだけでなく、哲学そのもののおもしろさや「哲学研究」への入門にもなっているところ。たとえば第一章「人間と野獣 自分自身を理解する」では「理性と感情の綱引き」という哲学のなかでもオーソドックスかつ多くの人にとって身近で興味深いトピックについて古代哲学者たちがどんなことを言っていたかということが紹介されている。その次の、二章「なぜプラントンの『国家』を