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ブックマーク / www.bookaholic.jp (3)

  • book@holic – ブッカホリック

    幽の書評vol.12 辻村深月『ふちなしのかがみ』 2019/2/10 幽の書評 声にならない呟きが空間を満たしていく いつか恐い話を書くだろうな、と予感はしていた。辻村深月のことだ。彼女の書くミステリー小説には、声にならない囁きが満ちていたからである。辻村作品を読むと、いつも青春時代の暗い面に思いを馳せさせられる。たとえば『太陽の坐る場所』(文藝春秋)を読めば、行間からアノトキハ言エナカッタ……、当ノ私ハココニイル人間デ... 記事を読む 幽の書評VOL.11 高橋克彦『たまゆらり』 2019/2/9 幽の書評 途切れた記憶が思わぬ魔を呼びよせる 高速で空中を動き回る、黒い玉がある。ビデオ映像などに写りこんだ謎の物体は、たまゆらと名づけられた。〈私〉は、その正体を解明したいという思いに駆り立てられるのだが――。 『たまゆらり』は、不思議現象に取りつかれた男を描く標題作をはじめ、全十一篇

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  • 杉江松恋不善閑居 「僕らはすべてをノートにつける」

    大学に入る前の人間関係はほぼすべて断ち切っているのだが、唯一高校時代にわずかな縁が残っている。たぶんこれは一生のもので、よほど何かたいへんな事態が出でない限り、この縁が切れることはないだろう。自意識の最も高い、恥ずかしい時期からのつきあいである。こういうのを腐れ縁という。 ただ、その縁が切れかかった時期があった。理由は簡単で、金である。私もその友人たちも、幾年かの差はあったが大学に入り、卒業して社会人になった。貧乏だった高校生がバイトで小金の稼げる大学生になり、そして可処分所得のある勤め人になったわけである。そこでつきあいの仕方は、年齢相応のものとなった。といっても、終電で帰るべきところをだらだら居座り、朝までファミリーレストランで粘っていたときにタクシーで帰るようになった、というぐらいのごく地味なものだったが。 そんなつきあいに、あるとき変化が起きた。 つきあいの深かった友人が、突如、こ

    杉江松恋不善閑居 「僕らはすべてをノートにつける」
  • 杉江松恋不善閑居 「ぼくのPTA時代 その2」

    このところゆえあってPTA時代の文書フォルダを掘り返している。 また昔の文章を発掘したので、ご紹介しておきたい。 文面からするとたぶん。3回目のPTA会長に就任した年の春に書いたものだろう。 私は家庭人としてはあまり点数が高くないほうで、探り探り、少しずつ「普通」になろうとしてきた。そのことを率直に書いたのは、「自分は子育てが向いてないんじゃないか」と下を向いてしまう人が保護者の中にもいるだろうと思ったからだろう。 PTA会長というか、一人の子供の親として書いた文章だった。 ======================== 「お父さん」になれるといいんですが こんにちは。今年もPTA会長としてお世話になります。去年の十月に、四十一歳になりました。私たちの年齢だと、この年になると「元祖天才バカボン」のエンディングテーマを歌う決まりなんです。「四十一歳の春だから」って言うんです。 その年でどう

    杉江松恋不善閑居 「ぼくのPTA時代 その2」
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