怪獣映画というと、子供だましで、いい大人が見るものではない、と思っている人も多いのではないだろうか。だが、「ゴジラ」第1作は決して子供向けではない。理不尽にも人間社会を破壊する巨大な存在だ。敗戦からわずか9年。東京大空襲や、広島、長崎の原爆を思わせる生々しい恐怖がモノクロ映像から漂ってくる。 人間を撮らなきゃ 本多猪四郎監督は、準備に入る際、「その怪物なんだけどさ、原爆そのものみたいなもんじゃない? そんなものを前にしたら、人間は驚き、恐怖を抱き、おののく。怪物も大事なんだけど、俺たち人間を撮らなきゃダメなんだ」と田中友幸プロデューサー、特技監督の円谷英二さんに語った。監督の妻きみさん(98)が、著書「ゴジラのトランク」の中で明らかにしている。 「父は、自然や核戦争の脅威、人間の葛藤を描こうとして、照れることなく真っ正面から堂々とゴジラに向かっていたのです」と長男の隆司さん(71)は語る。
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