ディレクターの工藤にはオカルトの神秘性についてまるで頓着がない。その態度は鈍麻なるがゆえに、かえって苛烈なほど現世的に見える。すでにFILE-01の『口裂け女捕獲作戦』から、タイトルの時点で何かがおかしい。捕獲という発想がきわめて現世的なのだ。 「口裂け女」には好きな場面がたくさんある。 口裂け女が投稿者にオカルトな力を及ぼすと、外の車中で待機していた工藤は警笛を鳴らして、口裂け女の注意を逸らそうとする。警笛という現世的なアイテムで口裂け女に感化を与えようとする機転と発想が好きだ。しかもこれが効いてしまう。 警笛でおびき寄せられた口裂け女に対し工藤は轢殺を試み、躊躇なくアクセルを踏む。逃走する女を追う工藤の手には金属バットが握られている。この場面は、目に見えるものに対する彼の強固な信仰でわたしたちを圧倒する。 しかし、捕獲作戦は失敗に終わり、投稿者は失踪して、工藤たちは敗北を迎える。最後に
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