総合格闘技に受け継がれる“U”の遺伝子 UWFとはユニバーサル・レスリング・フェデレーション、1984年に旗揚げして以来、一世を風靡したプロレス団体だ。入場式に使われたUWF公式テーマは、田村潔司VSヘンゾ・グレイシー戦などの大一番にも流され、ファン達は感情を爆発させる。「Uの遺伝子を継ぐもの」というその曲の通称は、「今あるプロレスや総合格闘技はすべて‘’U‘’の影響下にある」という強烈な自負を孕んだものだ。 そんな伝説の団体をテーマとしたのは、『1976年のアントニオ猪木』などの名著を送り出してきた柳澤健だ。マットに寝転がって超低空の「アリキック」を仕掛けるしかなかった猪木・モハメッドアリ戦を、そこに至るまでのルールや「シナリオ」をめぐるやり取りを含めて描き出したドキュメンタリーの手法は、最新作『1984年のUWF』でも健在だ。 ただし、今回は前著のような「新事実」はほとんどない。真剣勝