おそらく僕は、思春期のすべてをブルマーと過ごすことが出来た最後の世代だ。小学校から高校にかけて、ブルマーは青春に寄り添うように、傍らに在り続けた。ブルマーはいつも近くにあったが、同時に絶対に触れることの出来ない幻想の果実だった。アンタッチャブルゆえに僕はブルマーに永遠を見た。誰も触れなければ、朽ちない。そう、信じていた。だから大人になった後、「学校でブルマーは使われなくなっている」と知らされたとき、僕は永遠の命を持った魔女を喪ったような寂しさを覚えたものだ。ブルマーが滅びても、ブルマーの魔法は永遠だとそのときは思っていた。 1991年。高校最後の夏。僕は腐りきっていた。成績は学年の底に沈んでいて、進学は絶望的。担任教師からは「現役合格は諦めるんだな」と失格の烙印を押されて、受験勉強をする気分はすっかりなくなっていた。アルバイトは禁止されていたので、部活も引退するとやることがなかった。僕は知