先日、ぼくが監修した新しい本『最後のプレイボール~甲子園だけが高校野球ではない~』が発売された。高校野球に携わる選手やマネージャー、指導者、あるいはその家族の実話を集めたドキュメンタリー集だ。全部で22編の物語が収録されている。 その中に印象的なエピソードがあった。 そのエピソードの主人公は、医者の家系に生まれた。彼は、子供の頃から周囲の影響で医者を目指していたが、同時に野球も大好きで、熱心に取り組んでいた。そうして高校に入る頃には、甲子園を目指して真面目に取り組むようになった。 すると、野球への愛情はどんどんと高まっていった。やがてプロ野球選手になることを夢見るようになり、高校最後の夏は地区大会で負けてしまったのだが、そこで諦めることなく、進学しても続けようと、浪人をして野球の強い大学を志した。 ――と、ここまでは比較的よくある話なのだが、面白いのはここからだ。 そうやって野球の強い大学