リーマンショック以降行なわれていた企業の雇用調整が一巡し、ようやく有効求人倍率も改善し始めた。しかし、正社員の数は依然として減少し続けており、正社員と非正規社員の格差は広がる一方だ。労働市場の「二極化」は、このまま解消されないどころか、より深刻化してしまうのだろうか。慶應義塾大学の樋口美雄教授に、あるべき労働市場の姿と、個人が求められる働き方について聞いた(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子) 高度成長期の社会では 問題視されなかった「賃金格差」 ――正社員と非正規社員の二極化が進み、格差問題がクローズアップされている。そもそもこの2つの雇用形態が生まれた社会的な背景を教えて欲しい。 ひぐち・よしお/慶應義塾大学商学部教授。同大学商学部長。栃木県生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程修了、商学博士。スタンフォード大学客員研究員、などを経て、現職。 200