2022/3/6 この小論では、主に以下の3点について説明します。 新型コロナ抗原検査キットの感度現実の発熱外来診療でのコロナ陽性検体のCt値の分布コロナ診療では、少なくとも当面は抗原検査キットでなくPCR検査に依拠すべきこと 世の中では新型コロナウイルスの抗原検査キットが普及していますが、当院は抗原検査キットを診療に使わずもっぱらPCR検査を用いています。その理由を一言でいうと、抗原検査には偽陽性、偽陰性の問題があり、それを医師としての臨床的な判断能力でも補い難い場合が多すぎるからです。 ウイルス検査のゴールドスタンダードであるPCR検査はウイルスの塩基配列の一部を正確に認識して増幅する検査の特性上、ヒューマンエラーがなければ偽陽性の発生は実際上0.0000%であり(中国のように大都市住民をまるごとPCRしても偽陽性は発生しません)、感度も高い検査です。それに対して蛋白どうしの抗原抗体反