人間は,なぜ言語以前の身体の知覚や感情を言語という記号に結びつけられるようになったのか.そもそも音声言語の進化的基盤はどこにあるのか.子どもの言語獲得や意図理解はどのように発達するのか.手話やジェスチャーはどのように生成されるのか.実験観察や計算モデルなどの手法を取り入れ,いわゆる「記号接地問題」を解く. ■編集部からのメッセージ この第1巻は「言語と身体性」と題する巻ですが,本巻の重要なテーマは「記号接地問題」であると位置づけます.そもそも「記号接地問題」とは何でしょうか.本巻では以下のように定義します. 「人間が共存,共有を実現し,維持するために大切な言語に用いられる記号の体系は,身体を経て得られる感覚,知覚,運動,感情などの情報に由来した個別的,かつ具体的な意味を持っているはずである.ところが,その記号体系は,身体性から離れた抽象的な記号体系としてコミュニティーの中で共有される意味を
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