2015年01月11日00:31 カテゴリ本 タックスヘイブンという「新しい植民地」 きのうのVlogでも話したことだが、ピケティの本の前半は日本とほとんど関係ない。特にr>gで引っかかる人が多いようだが、あれは経験的にも理論的にも疑わしく、不平等化の必要条件ではない。所得や資産の不平等が拡大する最大の原因は資本蓄積、つまりβの上昇が続くことだ。 ここで注意が必要なのは、彼のデータが税引き後の国民所得であることだ。資本家にとっては税もコストの一つなので、それが最低の場所で納税することが合理的だ。アメリカの不平等化の一つの原因が、タックスヘイブンを利用した租税回避である。アップルの海外法人は、所得の1.8%しか税金を払っていない。経済学者はタックスヘイブンは単なる税制の抜け穴だと思っているが、その規模は大きい。ピケティはその規模を世界の総資産の1割と推定しているが、本書は1/4と推定している