【かんさいMONO語り】方丈で最も大切な部屋である「室中の間」の正面真ん中にあった襖絵4枚がそのまま帰還。中国の仙人が数多く描かれた「群仙図」の一部という=京都市右京区の龍安寺 ≪狩野派絵師の思い込められた逸品≫ 一度海外へ流出した家宝が戻ってくることはほとんどないという。龍安寺(りょうあんじ)にかつてあった狩野派絵師の作とみられる桃山時代の6面の襖(ふすま)絵は、紆余曲折(うよきょくせつ)を経て115年ぶりに米国から里帰りした。「あるべきところに戻ってきた。非常に感慨深い」と話すのは龍安寺学芸員の岩田晃治(あきはる)さん(47)。きっかけは、9月初旬に突然訪れたひとりの外国人男性だった。 ■突然訪れた英国人「オークションの仲介したい」 残暑が厳しい9月7日。東京からデービッド・アトキンソン氏(45)という英国人が寺を訪ねてきた。アトキンソンさんは寺旧蔵の襖絵6面が米国で競売会社クリスティ