男は 心臓がバクバクし 冷や汗をかいた 額に出来た「しこり」のようなものは さらに痛みを増し 触ると更に伸びたように思えた その時 突然あらわれた黒い雲が空一面を覆い 雷鳴が鳴り響いた ここにいてはマズイ・・・と 男は思い とっさにトイレの個室に駆け込んだ ズキン ズキンと 今度は左手が痛み腫れてきた いや よく見ると 腫れているのではなく 筋肉がYシャツがはち切れそうなほど 膨張していて 夢で見たのと同じ 青みを帯び始めた 「アオ・・・やめろ」 「駄目だよ・・・抑えろ」 「兄ちゃん・・・」 「とっ・・・止まらないよ」 「どうしよう・・・」 「アオ・・・がんばれ・・・」 頭の中で 得体の知れない 何者かの声が再び聞こえたその時 会社の近くに雷が落ち 停電し 男の意識は遠のいた ドンドンドン ドンドンドン 「おい 大丈夫ですか?」 「しっかりしろ」 「どうしたんだ?」と ドアを叩く音と 複数