国の天然記念物に指定されている奈良公園(奈良市)のシカの生息頭数が4年連続で減少して1100頭を下回り、平成以降で最少となったことが、財団法人「奈良の鹿愛護会」の調査で19日、分かった。交通事故や野犬の被害に加え、近年は観光客のごみを食べて死んでしまうシカが増加。中には故意にプラスチックの弁当ケースなどを食べさせるケースもあり、関係者は「来年は『平城遷都1300年祭』があり、マナーの悪い観光客が増えないか心配」と頭を抱えている。 ■“神の使者”への嫌がらせ止めて 愛護会によると、奈良公園のシカは古代から生息し、松尾芭蕉の俳句に詠まれるなど、神の使いとして信仰の対象とされてきた。明治時代の廃仏毀釈(きしゃく)や太平洋戦争時の食糧難で頭数が激減したが、愛護会や市、奈良県などの保護で増加。平成元年に1100頭を超えて以降の頭数は1100〜1300で推移していた。ところが、18年の1248頭か