燃料電池車(FCV)の市販化が平成27年に始まる見通しの中、燃料の水素を充(じゅう)填(てん)する水素供給施設(ステーション)の建設が進んでいない。政府は当初、27年中に全国で100基程度の商用水素ステーションを整備する構想だったが、現時点で計画ベースでもその3分の1にも満たず、大半は未着工という。 水素ステーションの設置コストは1基当たり4億~6億円とされ、「ガソリンスタンドの約5~6倍」(石油元売り大手)という。国が建設にかかる費用の最大半額を補助するとはいえ、それでも億単位の投資を要する。実際、現時点で補助金の対象になったのは31基。しかも着工はわずか数基とみられる。 ある石油元売り大手幹部は「電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に比べて、はるかに高価なFCVの需要が不透明な中で巨額投資はできない」と困惑する。 全国で15基の設置を計画しているJX日鉱日石エネルギー