親子断絶防止法に対する懸念が各方面から出されている。日米首脳会談ときに、オバマ大統領への日本側からの「手土産(当時の報道)」として、あまり審議されることもなく、ハーグ条約(国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約)を締結したからには、国内法にも手を付けることになるとは思っていた。アメリカの「外圧」には逆らえまい。しかし今回の親子断絶防止法案は、あまりに現状を踏まえていない。「子どもの福祉」を理由とするならば、当事者の子どもの声を聴いたことがあるのだろうか。 私の専門は家族社会学である。授業が終わるとコメントペーパーを提出してもらうのだが、ときに自分の経験を書いてくれる学生がいる。少なからぬ学生が(3組に1組の結婚は離婚に終わるのだから当然であるが)、「自分は離婚家庭の子どもである」と教えてくれる。しかしそこで、「別れた親に会えなくて辛い」もしくは「親に会えなくて自分の健全な成長が阻害され