2015年9月23日のブックマーク (3件)

  • 拓郎

    大学時代。私の恋人は、坊主頭で、体育会系の野球部員だった。部員といってもずっと補欠で、レギュラーになったことは一度もなかった。代役だか何かで一度だけ公式戦のベンチに入ったことはあったが、その時も試合には出なかった。野球は好きだったが、野球には好かれていなかった。大学四年の六月、彼は起業し、大学と野球部をやめた。ひどい土砂降りの夕方、私は彼に新しい会社に連れて行ってもらった。そこは、古びたマンションだった。部屋の隅に積み重ねられたコンピュータを背に、彼はいつもと違う表情をしていた。「俺、野球部だから坊主だったけど、ずっと長髪にしたかったんだよね」閉め切った窓には激しく雨が当たり、雷鳴が響き始めた。「おまえの髪も肩まであるじゃん……だからさ、俺の髪が……」と、ここまで言ったところで彼は黙ってしまった。思い詰めたような、それでいてどことなくいたずらっぽい表情を見て、ああ私はやっぱりこの人が好きな

    Errorrep
    Errorrep 2015/09/23
  • 色鉛筆

    この間の技術のテストで12色の色鉛筆が必要だったんだけど、案の定忘れた。そんで夜の9時ぐらいになって思い出したけどもう遅くて、母さんに手伝ってもらって家の中から何とかして色鉛筆を探す事にした。棚の奥のほうから俺が小学校の頃使ってた色鉛筆が出てきた。マリオカート64の絵が入った、言っちゃ悪いけど中学3年生が学校に持ってくるにはちょっとアレな缶ケースに入った色鉛筆だった。恥ずかしいから中身の色鉛筆だけ取り出して、輪ゴムで束ねて持っていこうかなとか考えながら蓋を開けたら、中にはちゃんと12色の色鉛筆が揃っていた。でも、その色鉛筆にはご丁寧にも11名前シール(自分の名前がひらがなで書いてある)(マリオカートのキャラつき)(しかも上からフィルムで防水加工つき)が貼ってあった。恥ずかしくて持って行けたもんじゃないので、俺は母さんに「恥ずかしいからこのシール全部はがしとく」的な事を言った。母さんは笑

    Errorrep
    Errorrep 2015/09/23
  • コンプリート

    「なあなあ、シティハンターのコンプリートDVDボックスが欲しいんやけど」 私「へぇー、いくらなん?」 「17万」 私「じゅ、じゅうななまん!?」 「そう。高いねん。やっぱ無理やんなー」 私「・・・」 「でも私、見ないまま一生を終えると未練が残ると思うねん」 私「そうなんや」 「そやから、私が死んだら一緒に棺桶に入れて欲しいなあと思って」 私「え?一緒に焼いてしまうん?」 「そう、焼いてもらうねん。高い買い物やけど、供養やと思ってお願い」 私「それ、結局、見れてないけど、ええの?」 「ええねん。あの世でゆっくり見るわ」 私「あの世て。そんなんするくらいやったら、生きているうちに買って見たほうがええと思うけどなあ」 「そやろ!やっぱそう思うやんな!!」 私「え?」 「え?」

    コンプリート
    Errorrep
    Errorrep 2015/09/23