私は幼い頃から他人の気持ちが分からなかった。あるいは、心を持っている人間は私だけで、それ以外の人間は心を持たないNPCのように見えていたのかもしれない。これは人として当たり前のことなのかもしれないが、高校生ぐらいになったとき「そうか、相手も人間なんだから私とは違う心・意思を持っているんだ」と気がついた。 転じて、私は人の気持ちが理解できないことが分かった。例えば相手はほんの冗談で言ったつもりの言葉を真に受けて怒ってしまったり、仕事の場面では、上司が暗に示している言葉の真意が理解できないこともあった。しかし、小説を読んでいると各々の登場人物の心理は読むことができるし、解釈した心情が間違っていることもほとんど無かった。 今でも人と接していると、この人が本当に意思を持っているのか心配になる時がある。 もちろん、その人には自我があり心がある。だが、不意にそれが不思議・・・・・・というと語弊はあるが