七夕を新暦の 7月 7日で祝うのは、如何ともしがたい違和感である。第一、梅雨も明けないうちの七夕では、織姫・彦星に気の毒だ。 東北では、たいてい月遅れで七夕を祝うのでずっとましだが、本当のところをいえば、旧暦で祝うのが正しい。そして、今年は、旧暦の七夕が 2度あるというのがおもしろい。 本来、七夕は歳時記でも秋の季語である。旧暦の 7月は、「秋」なのである。 暑い盛りを過ぎて、日の沈むのが早くなり、夜がだんだんと長くなる。黄昏時を過ぎると、少しは涼しい風が吹き始めて、見上げると、水蒸気に霞んだ夏の夜空とは異なり、星々が清かに輝いている。本来の七夕は、そんな季節感の行事である。 そして旧暦の 7日というのは、どの月でも上弦の月となるのだが、夏が過ぎたばかりのすっきりとした上弦の月は、舟の形をして、天の川を横切り、あたかも、ベガとアルタイルの間を結ぶように見える。これが、七夕のインスピレーショ