岩本康志氏がハイパーインフレーションについての簡単なモデルを提示した。しかし、モデル自体は簡潔で分かりやすいものの、その解釈ならびに提示された図がやや分かりにくいものになっている。そこで以下では、より直観的に分かりやすい解釈を試みてみる。 氏のモデルでは、財政赤字dが、貨幣供給の増分Δmと、インフレ率πと貨幣供給mを掛け合わせたπmで埋められることになっている(dとmは対GDP比に基準化されている)。すなわち d = Δm + πm (1) この式自体は分かりやすいのだが、奇妙なことに、ハイパーインフレーションがモデルの主眼であるにも関わらず、氏はπをmの関数として早々に内生化してしまう。その上で、dを一定としてΔmとmの関係を導き出し、mが減少していくのがハイパーインフレーションだ、という一見直観に反する結果を提示している。