日本で共働き家庭が増え、夫婦間での家事育児の分担に苦慮する人も増えるなか、家事手伝いの「メイド」さんを雇えばいいではないか、と簡単に言われることがある。住み込みメイドを導入している国の様子が、「こんなに快適!」と非常にポジティブな形でメディアに出てくるのも見かける。 筆者はシンガポールに住んでおり、約1年間フィリピン人の住み込みのメイドさんを雇っていたこともある。そのためメイド事情について尋ねられることも多い。確かに日本にいる多忙な共働き夫婦は、会社で長時間働き、家事・育児も自らこなし……と、明らかに手が足りていないようにも見える。 はたして「住み込みメイド」はすべてを解決してくれる万能薬なのだろうか? 頼む側の視点、働く側の視点それぞれを踏まえると、費用は家事労働の値段として高いのか安いのか? 実体験や女性学の見地を踏まえながら、さまざまな面から考えてみたい。 ■ラクではない雇用と教