「早飯試験」というのは、学生の間でちょっとした評判になったようである。何しろ、メシを食わせて、その早い順に採用したのだから、キャンパスでも話題になったに違いない。 「大声試験」も三年連続でやったものだから、翌年も「早飯試験」をするだろうと、メシを食う練習をしてきた者もいたようだ。昭和五十四年度に入社した連中に後になって聞くと、「もう鵜呑みにしてもいいから、お茶で流しこんでもいいから、どうしたら少しでも早くメシが食えるかを研究しました」と口を揃えて言う。 しかし我社は、こうした学生諸君の期待を大きく裏切ったようだ。 早飯試験で自信(?)をつけた私は、五十四年度の採用試験をどのような方法で行なうか、幹部を集めて話し合った。またもいろんな意見が出たが、結局は、「便所掃除試験」ということにおちついた。 今の時代に、入社試験で便所掃除をやらせる、などというと世間の顰蹙を買うやもしれないが、便