DeNA問題で、客観的根拠に基づいた信頼できる医療情報が希求されている現状において、またしてもこのような本が平然と書店に並んでしまうこの国の出版モラルは大丈夫でしょうか。 さて、今回も近藤誠氏の嘘をひとつ糺してみます。近藤誠理論の要のひとつに「本物のがん」という概念があります。わかりやすく言うならば、治すことが難しい ‘転移’ という現象は、すでに決められた運命だから放置がよいというものです。 転移するか否かは、がん幹細胞が生まれたときに定まっている。結局、がんが治るか治らないかは、がん幹細胞が誕生したときにほぼ決まっているのです。(『がん治療で殺されない七つの秘訣』2013年 文春新書より) 都合のよい論文データをあちこちから調達してくることで仮説をつくりあげている近藤氏ですが、がんが誕生した瞬間からすでに転移している「本物のがん」について、一体何を根拠としてそのような主張を繰り返すよう