日本大学(本部・東京都千代田区)の一連の不祥事を調査していた第三者委員会は3月末に公表した調査報告書で、前理事長らによる脱税・背任事件とは別のある取引を問題視した。広報事業で特定の業者を約10年間優遇していたとするもので、第三者委は「事件と共通の要因が見られる」と指摘した。関係者を取材すると、一組の姉弟が日大のガバナンス(組織統治)不全を助長させた疑いが浮かぶ。 日大の広告事業を「1社独占」 調査報告書によると、問題視されたのは、2011年ごろから日大企画広報部と取引関係があった大阪市の広告会社。取引額は11~15年度は年間2億~3億円台だったが、大学創立130周年記念事業に関して日大と覚書を交わした16年度に約7億円に大きく増え、20年度は約10億4000万円に達した。同部の取引額全体に占める同社の割合は、11年度は77%だったのが、20年度は98%と異常な「1社独占」状態となっていた。