伝説のプロレスラー:ローラン・ボックの評伝『Bock! Im Kampf Gegen Stiere & Sich Selbst』は、闘いの書だ。 ドイツ人ジャーナリストのアンドレアス・マトレによる本書は、“地獄の墓掘人”と呼ばれたボックの軌跡を小説仕立てで構成した作品。初めて明かされるその幼少期、アマチュア・レスラーとしての五輪出場、プロレスラーへの転向、ビジネス・ベンチャーへの挑戦までが描かれている。刊行されたのは2021年だが、オーストリアのインディペンデント系の出版社から刊行されたこと、図版なしで300ページ以上全編ドイツ語というハードルの高さなどがあり、ようやくその全貌が明らかになってきた。邦訳が待たれるところだが、この記事ではマトレとのロング・インタビューと78歳となるボック本人とのメールのやり取りで得た情報を交えながら、その知られざるロックな側面を明かしていきたい。 (全2回記