タイトルと設定から、ローリング・ストーンズの「悪魔を憐れむ歌(Sympathy for the Devil)」を思い起こす読者もいるだろう。 新潮社の「バンチ」系雑誌に掲載された連続猟奇殺人の物語ということで、僕は最初、『プルンギル -青の道-』(原作:江戸川啓視、作画:クォン カヤ)を連想した。 原作者の江戸川啓視とは、浦沢直樹とのコンビで有名な長崎尚志の別名である。 日本と韓国で、体じゅうの関節が捻じ曲げられるという猟奇殺人事件が発生し、両国の刑事が衝突しながらも協力して事件解決に向かうバディもののクライム・ミステリーだった。 サッカーの日韓共催W杯の開催時期にあわせて、創刊間もない週刊誌時代の「コミックバンチ」で連載がスタートした作品で、日韓両国のあいだに横たわる偏見を大胆に盛り込んでいた点で、強く記憶に残っている。 『悪魔を憐れむ歌』は極めて特異な作品ではあるが、新潮社/バンチに