先日デパートで下りエスカレーターに乗ると、前には小さな赤ちゃんを抱いたお母さんが立っていた。赤ちゃんは抱っこされているので、後ろにいた私とは自然と向き合う形になる。気が付くと、その赤ちゃんはこちらをじーっと見つめている。 私はニコッとしてみたのだけれど、ビックリしたのか恥ずかしかったのか、それともお気に召さなかったのか、少し向こうを向いてしまった。でもすぐに再び、その真ん丸な瞳で私の目をじっと見つめ始めた。 その瞳に見つめられて、私は何だか自分が丸裸にされているような気持ちになってしまった。「あぁ、この子の前ではどんなに表面的に取り繕っても、外見を着飾ったとしても意味はないんだな」とわかった。きっと彼らはすべてお見通しだと感じたのだ。 曇りのない清らかな瞳には、だからこそまっすぐ本質に迫ってくるような強さがあった。言葉や装飾などものともせず、私の中心まで一直線にたどり着いてくるようなまっす