忘れたい過去 あれから、もうじき6年もたとうとしているのか。忘れたくても忘れもしない。 詐欺師との出会いは、2011年3月11日の東日本大震災が起きる少し前のことだった。 初めは顔見知りのおじさん(わかりやすくBとしよう)だったのだが、妹の彼氏の知り合いだということで、わたしもなんの疑問もなく、仲良くなった。 もう忘れたが、当時、Bの年齢は43歳くらいだったように思う。 いつもシャツを着こなしており、割とおしゃれな印象。年の割に若く見え、姿勢が良く、いつも堂々としている。 周囲の人はみな、Bのことをお金持ちの投資家だと話しており、だれも疑っていなかった。 いつも明るく話しかけてくれる、気さくなおじさん。物知りで、話もとても面白い。そんなイメージだった。 何度も他愛もない話を話すようになり、気を許すようになったころ、Bから車で家まで送ってくれないかと頼まれた。 わたしは疑問に思うことなく、O