著作と論文の捏造(ねつぞう)・盗用が認定され、学校法人東洋英和女学院を懲戒解雇処分となった深井智朗・前院長の著書には、20世紀前半のドイツの「神学者カール・レーフラー」が登場する。レーフラー氏は存在するのか――。学内調査で不正があったかどうかの判断で焦点になった点だ。深井氏の説明は二転三転し、「カール・レーフラー」以外に何人ものレーフラー氏が登場することになった。朝日新聞記者もドイツ語を駆使してその存在を追跡した。分かった事実とは――。 深井氏は2012年の著書『ヴァイマールの聖なる政治的精神』(岩波書店)で、4ページにわたり神学者「カール・レーフラー(Carl Loevler)」の論文「今日の神学にとってのニーチェ」に基づいた論考を展開した。 この記述に疑義を呈したのが、北海学園大の小柳敦史准教授だ。小柳氏は昨年9月に出た日本基督教学会の学会誌「日本の神学」57号で、カール・レーフラー氏