この対談は『GQ JAPAN』2014年8月号に掲載したものです。 矢作俊彦と高橋源一郎のふたりの作家は、この2年あまり、『GQ JAPAN』を舞台に、ジャーナリズム・リポートを展開してきた。この交互連載は、今号で一区切りをつける。そこでふたりは一緒に沖縄に出かけ、戦後日本にとっての「沖縄」の意味をとらえかえしつつ、わが日本の自画像をとらまえようとした。この列島南端の島は、いまも日本の鍵を握っている。 今回の沖縄取材は沖縄戦最大の激戦地となった南部の戦跡巡りからスタートした。ひめゆりの塔、平和祈念公園、平和の礎を訪ねた後には、沖縄本島北部にある広大な北部訓練場にも足を延ばした。高速道路は米軍キャンプの真ん中を突っ切る。辺野古漁港のすぐ隣には米軍基地と「日本」を隔てるフェンスが設置されている。キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、嘉手納飛行場、普天間飛行場……。島中のいたるところで「米軍」