小説『火垂るの墓』で知られる故・野坂昭如という人は、私にはかなり理解が難しい作家で、その作品を読んで面白いかというと、あまり面白いとは思えない。が、物心ついた頃はよくテレビ番組に出演していて、トレードマークだったサングラスと共にその風貌は記憶に焼き付いている。 いや、同じテレビでも、番組ではなく、むしろテレビコマーシャルでの印象のほうが強い。そりゃそうだ。小中学生は野坂昭如が出るような番組はめったに見なかったが、野坂昭如の出演する酒のコマーシャルは、傍若無人にも小中学生がテレビを見る時間帯にも放送されていたから。彼が「ソクラテスか、プラトンか」と歌うサントリーのCMは、今でも歌えたりする。調べると1976年の放送。自分は中学3年生か。でっかいわ~、大物よ~、っと。(さすがに若い人はわけが分からないと思うので「野坂昭如 ソクラテス」あたりで動画サイトで検索してみてください) そんな野坂昭如の