世界中のパソコンの空き時間を使い小児がんの治療薬候補物質を探し出す研究を、中川原章・千葉県がんセンター長らが始めた。大量のパソコンをネットワークで結び、スーパーコンピューター並みの処理能力を実現する「グリッドコンピューティング技術」を活用。家庭や職場のパソコンで最先端研究に貢献でき、数が多いほど成果が早いとして、参加者を募っている。 中川原さんらは、治療の難しい小児がん、神経芽腫の治療薬開発を目指している。今回の研究は鍵となる三つのたんぱく質に作用する治療薬候補物質を、約300万個の人工化合物からシミュレーションで約20候補に絞り込むのが目的だ。 延べ900万回の解析が必要で、通常のパソコンでは約8000年かかる。処理能力の高いスパコンなら大幅に短縮できるが、費用が高く使えなかった。 そこで中川原さんは、IBMが非営利でグリッド技術を運営する「ワールド・コミュニティー・グリッド(WC