福岡・博多の食といえば、「とんこつラーメン」を真っ先に思い浮かべる人が全国にはたくさんいるだろう。白いスープと独特の香りのラーメンは、九州の地方食からすっかり全国区となり、アジアを中心に海外進出も果たした。福岡は地元住民が毎日のようにとんこつラーメンを食す「ラーメン王国」の印象もあるが、本当にそうなのか-。 違う。実は、福岡にはラーメン店に勝るとも劣らないほど、うどん店があり、しかもうどん発祥の地という伝説もある。福岡は香川と並ぶもう一つの「うどん王国」だったのだ。(九州総局 津田大資) 理由(1) 歴 史 博多駅の北西500メートル。臨済宗東福寺派の承天寺(じょうてんじ)境内に一つの石碑が建っている 「饂飩(うどん)蕎麦発祥之地」 石碑にはこう刻まれている。鎌倉時代の仁治3(1242)年に開山した駿河(静岡県)出身の聖一国師(しょういちこくし)が、中国・宋から博多へ製法を持ち帰ったのが、