5月に授賞式がおこなわれた第75回カンヌ国際映画祭で、新人監督賞にあたるカメラドールの特別表彰を受けた早川千絵。現在公開中の『PLAN 75』で発揮された独自の切り口と、これまで歩んできたキャリアについて、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が監督本人にインタビューした。 日本人特有の思考回路 映画監督の早川千絵は、脚本の構想を練っていた際、自分が作ろうとしている映画の前提となる問題についてどう思うか、母や知人の友人である年配の人々に訊いてみようと考えた。彼女はこう質問した。 「もしも75歳以上の国民向けに政府が安楽死を支援するとしたら、あなたはそれに同意しますか?」 「肯定的な返事をした人が大半でした」と早川は言う。「他人や自分の子供たちの負担になりたくない、と言うのです」 早川が思うに、この一見ショッキングな反応は、日本の文化と人口統計を色濃く反映している。5月のカンヌ映画祭で、彼女の初の長