新型コロナウイルスの感染拡大で急拡大したマスク需要が、ようやく一段落した感がある。街中には箱詰めのマスクが並び始め、一時と比べて値段も落ち着いてきているが、なぜ、ここまで国内でマスクの払底が続いたのか。背景を探ると、中国の原材料メーカーによる価格釣り上げや過去の“教訓”を基にした国内の一部メーカーによる増産控え、海外ブローカーの参入など、複数の要因が複雑に絡み合っていたことが浮かび上がる。 【写真】熱中症予防に「ひんやり夏用マスク」 「原材料価格がつり上げられ、マスクの値段も上げざるをえなかった」。中国にある子会社を通じてマスクの加工を手掛ける国内メーカー関係者は、こう打ち明けた。 防護効果が比較的高いとされる3層マスクは、繊維を織らずに絡み合わせた「不織布(ふしょくふ)」を3枚重ねた構造になっている。世界の不織布の生産量は、4割近くを中国が担っている。 この関係者によると、フィルター機能