2023年後半に株価が急落したのは楽器大手のヤマハだ。8月頃まで5000円台前半で推移していた株価は下落を続け、足下では3000円台前半だ。 ヤマハは2010年代を通じて、中国など新興国の開拓を進め右肩上がりの成長を遂げた。半導体不足で商品供給に苦しんだコロナ禍においても、外出制限中に自宅で楽器を楽しむという巣ごもり需要が追い風だった。 それが一変したのはなぜか。2023年に明らかになったのは、過去10年間ヤマハが乗っかっていた「成長ストーリー」の変調だ。 業績予想の修正を境に株価下落 株価下落の最初のきっかけは、2023年度通期業績予想の下方修正だった。2023年8月2日に第1四半期決算と一緒に発表された。 インフレが進んだ欧米で、低価格帯の電子ピアノを中心に楽器需要が想定よりも弱かった。電子ピアノは利益率が高いため、業績に与える影響が大きい。この修正で株価は一気に800円近くも下がった